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添乗員の仕事

雪の日のフライト、こんなところに注意!添乗員が知っておきたい実務ポイント

添乗員の仕事

雪の日のフライト 旅行に行くお客さんもドキドキしますが、添乗員はもっとドキドキしています。なぜなら状況によって毎度対応方が違うから。

以前、全国から沖縄へ出発する大きな団体ツアーの時に雪の予報が出ていました。(2月だったと思う)

添乗員
添乗員

じゃ、A子ちゃん、新潟雪みたいだからよろしくね!

A子添乗員
A子添乗員

雪が降って欠航になったらどうしたらいいんですか?

添乗員
添乗員

その対応をするために添乗員がいるんでしょ!

とはいえ、天候理由で欠航になったことのないA子ちゃんですから心配で心配でいろいろ想定して準備をします。

私たちも「こうするといいよ」というような明確な返事ができるわけでもありません。

今回は、「もしも雪なら」
(ドリカムの歌ではない)

まずは!欠航保険にはいってますか?

催行箇所に確認しましょう、欠航保険(航空機遅延保険)。

これがあるのとないのとでは、その後の対応が変わってきます。

添乗員
添乗員

当たり前ですが、当日の申し込みはできません!

もし、雪の影響でフライトが心配となったらいろいろ下調べをしなくてはいけません。

雪とか空港の状況とか航空会社の代替便とかいろいろな要素が複雑に絡まってくるので、現場でもネットでもできるだけ情報収集し最善の方法を探しましょう。

  • 催行箇所と密に連絡を取る
  • 航空会社の運航状況をこまめに見る。例→JAL国内線の運航状況
  • もし欠航になった場合の代替案を考える(団体の場合空席状況が重要 人数多いからね)
  • とにかくお客さんを集める(空港まで頑張ってきてもらう)

催行箇所との連携は言うまでもありませんが、雪でJRやバスなどの交通も乱れている場合、空港まで来れるかどうかという問題もあります。

でも、飛行機が飛んでいなくたってとにかく空港まで来てもらわなくてはいけません。(可能なら)

そして全員揃ったら次のアクションに移ります。

添乗員
添乗員

顔が分からないお客さんと別の場所でミートするのは至難の業。
社員旅行など顔見知りの方々なら●●合流とかもできますね。

代替手段

冒頭の新潟の場合は、空港が閉鎖だったので別の空港から出発するしかありません。

で、羽田へ移動することに決定。

添乗員
添乗員

羽田空港ってなんで東京駅から直行できないんだろう‥‥(列車ね)
在来線の乗り換えって団体にはたいそう難しいのです。
大型バスなんてすぐ手配できないしね。

羽田からの新しい予約は、催行箇所が調整してくれました。

さて、前置きはさておきなぜ雪の日は飛行機が遅れるのでしょう。

雪の日のフライトはなぜ遅れる?現場から見たリアル

冬季の航空運航では、降雪や低温によって滑走路の除雪作業、機体の「除氷(デアイシング)」や「防氷(アンチアイシング)」が必要になります。

特にデアイシングは液剤の効果が持続する時間(ホールドオーバータイム)が決まっており、その時間内に離陸できなければ再作業が必要となり、これが大きな遅延の原因になります。

また、視界不良による離着陸制限、混雑空港でのスロット調整など、複数の要因が重なって遅延が発生します。

添乗員としては、これらの運航判断が「安全を最優先とした航空会社の規定によるもの」であることを理解し、丁寧に説明できることが重要です。

添乗員
添乗員

そういえばB787が出たばっかりの時、カーボン複合材を使ってるから熱伝導できなくて翼の雪が解けない!って騒いでたっけ?今は大丈夫なんだろうけど…

旅行業法・約款に基づく「添乗員が案内できる範囲」とは

雪による遅延・欠航時は、お客様からの質問が集中します。

しかし、添乗員が案内できる内容には旅行業法と約款に基づく明確な線引きがあります。

たとえば、航空会社が行う「補償」「払い戻し」「振替」などの最終判断は、あくまで航空会社の権限であり、添乗員が確約することはできません。

また、募集型企画旅行の場合、約款で定められた「運送機関の遅延・欠航は責任外」である点や、変更補償金の発生条件について、誤解を生まないよう正確に説明する必要があります。

添乗員ができるのは情報整理と案内、そして手続きのサポートであり、判断は航空会社または旅行会社本体が行う——この点を常に意識することが大切です。

航空会社の運航判断とルールを正しく理解する

航空会社の運航ルールには、気象情報、滑走路状況、視程基準など、多くの細かな規定があります。

特に雪の日に関係が深いのは以下の点です:

  • デアイシングの実施基準:雪・霧氷・着氷がある場合は必須作業。
  • ホールドオーバータイム:液剤の持続時間を超えればやり直し。
  • 視程基準:パイロットが必要視界を満たさなければ運航不可。
  • 運航優先順位:スロットや到着機の混雑で順番待ちが発生。

添乗員は専門的な判断をする必要はありませんが、お客様に誤解を与えやすい部分だけでも把握しておくと安心です。

特に「航空会社は安全最優先なので、状況により急な判断変更がある」ことは、トラブル時の説明に欠かせません。

お客様対応で気をつけるポイント—遅延・欠航時の案内(国際線・国内線別)

雪による遅延・欠航時の案内は、国際線と国内線で大きくルールが異なるため、添乗員は状況に応じた説明が求められます。

ここではそれぞれの違いと、実際の例題を添えて解説します。

【国内線の場合】

国内線は運航距離が短いため、遅延・欠航時の対応はシンプルです。

多くの航空会社では、欠航時の宿泊提供は行われないことが一般的で、払い戻しまたは振替が基本対応となります。

国内線での案内ポイント

  • 航空会社の規定:欠航 → 「手数料なしで払い戻し」または「空席のある便へ振替」
  • 宿泊提供:基本的になし(お客様自身で手配)
  • 旅行会社の役割:必要に応じて代替交通手段・宿泊手配をサポート
  • 添乗員がしてはいけないこと:宿泊費の負担を確約すること
【例題:国内線】

状況:新千歳空港から羽田行き、雪による欠航。お客様から「ホテル代は出ますか?」と質問。

適切な回答例
「今回の欠航は気象によるもののため、航空会社として宿泊の提供は行っておりません。約款および航空会社規定に基づき、払い戻しまたは便の振替でご案内しております。必要であれば近隣ホテルのご案内は可能ですので、お手伝いいたします。」


【国際線の場合】

国際線は遅延の影響範囲が広く、接続便や乗継地での調整が必要になる場合があります。

また、航空会社によっては遅延・欠航時の宿泊提供を行うケースがあり、その差が国内線との大きな違いです。

国際線での案内ポイント

  • 接続便への影響を必ず確認(乗継地での再手配が必要なことも)
  • 航空会社によっては宿泊や食事クーポンが提供される
  • 渡航先での入国規制(例:深夜の入国審査不可など)にも注意
  • 添乗員は確約せず、航空会社カウンターでの最終判断を前提に案内
【例題:国際線】

状況:成田発ロサンゼルス行き、雪のため大幅遅延。ロサンゼルスでの乗継便(メキシコ行き)が間に合わない可能性。お客様から「この先の便はどうなりますか?」と質問。

適切な回答例
「成田の遅延により、ロサンゼルスでの接続便に影響が出る可能性があります。航空会社の国際線ルールでは、乗継ができない場合は到着地で後続便の再手配を行うことになっています。こちらで最新の振替状況を確認し、わかり次第ご案内しますが、最終的な手配は航空会社の判断となります。」

国際線は便変更の影響が大きいため、常に公式情報を基に案内し、添乗員として「判断を代行しない」姿勢が重要です。

関連:フラキャン

スムーズな旅につなげる添乗員の事前準備と当日の動き:スムーズな旅につなげる添乗員の事前準備と当日の動き

雪の日の運航は、添乗員の準備次第でお客様の安心度が大きく変わります。

事前準備としては、過去の運航実績、当日の気象情報、空港の混雑予測を把握するほか、代替交通手段の選択肢も想定しておくと安心です。

当日は、空港到着時点で最新運航状況を共有し、遅延が想定される場合は早めに飲食・休憩の案内を行うなど、トラブルを見越した動きが求められます。

また、遅延が長引く場合には「小まめな状況共有」が最もお客様の不安を軽減します。

雪の日のフライトは予測が難しい反面、添乗員としての力量が問われる場面でもあります。

法律・約款・航空会社のルールを正しく理解し、丁寧な案内と冷静な判断で、お客様の旅を安心に導くことができるのです。

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