卒業旅行シーズンになってきました。若者にはぜひ海外旅行に行ってほしい。おばちゃん添乗員からの願いです。
各国の最新情報はいつも人から教えてもらっている添乗員のトシコです。
毎年、卒業旅行シーズンになると、たくさんの学生さんたちと一緒に世界を旅します。
みなさんのキラキラした目を見るのが、この仕事の一番の喜びです。
でも正直に言うと、毎年ちょっと心配になることもあって……。
今日は、旅立つ前にぜひ読んでおいてほしいことをお伝えしたいと思います。ぜひ最後まで読んでくださいね。
日本と海外では「大人」の定義が違います
日本では2022年の民法改正(民法4条)により、成人年齢が20歳から18歳に引き下げられました。でも「成人」の感覚はまだ20歳のイメージが強いですよね。
海外はどうでしょうか。実は、世界の過半数の国が成人年齢を18歳と定めています(法務省調査資料より)。
少しだけ例を挙げると——
| 国名 | 成人年齢 |
|---|---|
| 日本 | 18歳(2022年〜) |
| イギリス | 18歳 |
| フランス | 18歳 |
| イタリア | 18歳 |
| ドイツ | 18歳 |
| オーストラリア | 18歳 |
| 韓国 | 19歳 |
| シンガポール | 21歳 |
| アメリカ(多くの州) | 18歳 |
つまり、18歳以上の日本人が海外に行けば、現地の感覚でも完全に「大人」なのです。
大人として扱われる、ということは、大人としての責任も伴うということ。それを理解した上で旅に出てほしいと思っています。
迷子になっても、外国の警察は動いてくれません
ここで、私が実際に経験したお話をさせてください。
以前、イタリアの街で観光中に、集合時間になっても戻ってこない学生さんがいました。
先生方はとても心配して「警察に相談しましょう!」と駅にいた警官に声をかけました。でも返ってきた言葉は……

「何歳ですか?」
「私たちに何ができるというんですか?」
そう。18歳以上の大人が「迷子になった」と言っても、外国の警察は動いてくれないんです。
実は、これには大きな文化的背景があります。
日本の警察は世界でも非常に特殊な存在で、忘れ物の管理(落とし物センター)や道案内まで親切に対応してくれます。
でも海外の警察は基本的に「犯罪の捜査・取り締まり」が仕事。
成人した大人の行方を探すのは彼らの仕事ではないのです。
道を聞いても「知らない」と言われることも珍しくありません。
だから、集合時間・集合場所は必ず守って。
もし遅れそうな場合は必ず連絡を。「大丈夫だろう」が通じないのが海外です。
アレルギー対応は「自分から動かないと」守られません
アレルギーをお持ちの方、特によく聞いてください。
「旅行会社に事前に伝えてあるから大丈夫!」と思っていませんか?残念ながら、海外ではそうはいかないことが多いんです。
外国では、情報を伝えることと、実際に対応してもらうことは別物。
「確認しあって、初めてものごとが成立する」という文化なのです。
現地のレストランで「アレルギーを伝えてあります」と言っても、その場で改めて自分から申告しなければ対応してもらえないことが多いです。
これは身をもって感じたエピソードがあります。
旅行中にアレルギーの食材を食べてしまい、体調を崩して病院に運ばれた方がいました。
病院で看護師さんに言われた一言が印象的で……

「なぜ自分にアレルギーがあるとわかっているのに、食べたのですか?」
叱責というよりは、純粋に理解できない、という表情でした。
海外では「アレルギーがある人は自分で当然管理するもの」という前提があるのです。
「誰かが気をつけてくれるだろう」という意識のままでは、命に関わる場面も出てきます。
出発前に、アレルギー食材を現地の言葉で書いたカードを作っておきましょう。
そして食事のたびに、自分から確認する習慣をつけてくださいね。
先生・添乗員は「担任の先生」ではありません
これは、学生のみなさんよりも親御さんに伝えたいことです。
大学・専門学校の先生方、そして私たち添乗員は、みなさんの担任ではありません。
「うちの子は内気で心配だから……」というお気持ちはわかりますが、学生の私生活まで管理することはできません。
「薬を持たせてあるのでよろしく」というご連絡をいただくことも多いですが、お薬の服薬管理は本人の責任です。(税関での申告サポートはできる場合があります。)
この旅が「自分で考えて行動する練習」になるよう、出発前にお子さんとしっかり話し合っておいてくださいね。
海外では、犯罪は犯罪です。「学生だから」は通りません
少し真剣な話をさせてください。
ちょうど最近、こんなニュースがありました。2025年12月、修学旅行でバリ島を訪れたとある高校の生徒複数名が、現地の土産物店で衣類を集団で盗む様子が防犯カメラに映り、SNSに拡散されました。
学校の公式サイトでも「複数の生徒が、訪問先において窃盗行為に及んだことが確認されました」と認め、校長が謝罪声明を出す事態に。
「軽い気持ちで」「みんなでやれば大丈夫」——そんな感覚は、海外では通じません。
日本では、学校内のトラブルが「校内指導」で終わることがあります。
でも海外では、万引きすれば即警察です。インドネシアでは窃盗はれっきとした犯罪で、場合によっては最大5年の禁固刑が定められています(インドネシア刑法362条)。
他にも覚えておいてほしいことがあります。
セクハラも同じです。「これくらい大丈夫だろう」と感じる言動でも、相手が不快に感じれば犯罪になる国が多いです。
わいせつな動画を送りつける行為も当然NGです。
「学生だから」と大目に見てもらえることはありません。
お酒は「楽しむもの」であって「酔うためのもの」ではありません
20歳以上の方は、旅先でお酒を楽しむこともあるかもしれません。ただ、国によって飲酒可能年齢はかなり違います。旅立つ前に確認しておきましょう。
| 国・地域 | 飲酒可能年齢 |
|---|---|
| 日本 | 20歳 |
| アメリカ | 21歳(全州統一) |
| イギリス | 18歳 |
| フランス | 18歳(2009年に16歳から引き上げ) |
| イタリア | 18歳 |
| ドイツ | ビール・ワインは16歳〜、蒸留酒は18歳〜 |
| オーストラリア | 18歳 |
| 韓国 | 19歳(国際年齢基準) |
| 中国 | 18歳 |
| シンガポール | 18歳(公共の場) |
| タイ | 20歳 |
(出典:訪日ラボ「海外諸国の飲酒可能年齢まとめ」、法務省「諸外国における成年年齢等の調査結果」)
ヨーロッパはアルコールに比較的ゆるやかな国が多い一方、アメリカは21歳以上と世界でも厳しい部類に入ります。
ただ、一つだけ覚えておいてほしいことがあります。
海外では、「お酒を楽しむこと」と「酔っぱらうこと」はまったく別物として捉えられています。
ヨーロッパでは、食事や会話を豊かにするためにワインやビールを楽しむ文化が根付いています。
泥酔している人を見ると、「盛り上がってる!」どころか、「だらしない人」「恥ずかしい人」と軽蔑の目で見られます。
「酔っぱらうために飲む」という感覚は、多くの国では通じません。
せっかくの素晴らしいレストランや雰囲気を楽しむためにも、ほどよく、上品に。
「現地で買えるから」は危険です〜薬物について〜
国によっては、大麻などが合法的に販売されているところもあります。
「みんなが普通に買ってるし……」と気が緩んでしまう気持ちもわかります。
でも、日本人は日本の法律に従う義務があります。
現地で合法でも、帰国後は日本の法律で裁かれます。
「知らなかった」「向こうでは合法だった」では済まされません。
旅立つ前に、「こういったものには絶対に手を出さない」と自分の中でしっかり決めておきましょう。
関連記事:タイの大麻解禁の話
盗難にあっても、あなたは悪くない。でも……
旅先でスリや盗難に遭うことがあります。
もしそういう目にあったとしても——悪いのはあなたではなく、盗んだ人です。
自分を責めないでください。

かく言う私も盗難にあったことがあります。
台湾でスリ・ハワイで置き引き・バンコクで盗難…
今思い出しても悔しい…
でも、とっても悔しいですよね。だからこそ、次は狙われないよう意識しておきましょう。
特に気をつけてほしいのは、こんなことです。
一方で、忘れ物・落とし物は自分の責任です。
日本ではお財布を落としても戻ってくることが多いですが、海外ではそれは期待できません。
「なくなった!誰かに取られた!」とすぐに騒ぎ立てるのはやめましょう。
そもそも忘れた・落としたのは自分です。
ホテルの部屋で何かが見つからないとき、すぐに「盗まれた!」と主張するのもNGです。
まずは自分でよく探してみてください。
本当に盗難の可能性があるときは、冷静にフロントまたは添乗員に連絡してください。
海外の警察は「忘れ物係」ではないので、紛失物の捜索は基本的にしてくれませんが、盗難の場合は警察への被害届が必要になることもあります。
最後に——「自分のことは自分で決める」ということ
旅の中でいろんなことが起こります。体調を崩すこともあるかもしれません。
そんなとき、「病院に行くかどうか」を決めるのは、あなた自身です。
18歳未満であれば、診察に保護者の同意が必要な国もあります。
でも18歳以上であれば、多くの場合、自分が判断する権利があります(国によって異なります)。
それは同時に、自分が責任を持って判断しなければならないということでもあります。
「大人として扱われる」って、最初は少し怖く感じるかもしれません。
でも裏を返せば、あなたの意思が尊重されるということ。
自分の頭で考えて、自分で決める——その経験が、旅の一番の財産になると思っています。
楽しい卒業旅行になるよう、心から応援しています。いってらっしゃい!✈️


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