添乗員の仕事というのは、
できるだけ安全が確保されるように
できるだけ快適に過ごせるように
できるだけ後で後悔しないように
想定しうる状況に備えて予めできるだけご案内をしています。
にもかかわらず、事は起こる。起こす。
「だから言ったのに!」
言いたい!でも言えない。ただ心の中で叫んでいる。
「That’s why I told you!」
ハワイの夜
慰安旅行なんかでご一緒する団体ツアーの場合、到着日のバスの中でできるだけ(またはブリーフィングの時に)滞在中の注意事項をご案内します。
- オウムの人につかまらないで!(お金とられます)
- 歩きスマホは禁止されています。(違反行為です)
- 横断歩道のあるところを渡ってください。(これも切符きられます)
- 募金の人にサインしないで(お金とられます)
これ以外にも、お金の事、たばこの事、飲酒について、チップについて、トロリーの乗り方などなど、様々な事をご案内します。
そんなことまで?ハワイに遊びに来る人なら知ってるんじゃないの?と思うなかれ。
慰安旅行などで来てる人たちは、基本浮かれています。
黙っていてもみんなについて行けば、現地にちゃんと到着してホテルに入ることができます。
慰安旅行にみんなで楽しく来れるように、旅行前にむちゃくちゃお仕事こなして現地入りするので、事前に現地情報調べてくる時間なんてありません。
だから、こんなこと知ってるんじゃないの?なんて思わずにしっかりとご案内をしてください。
(このようなことをちゃんと案内すると幹事さんも安心します。)
特に、男性が多い団体の場合は夜になると起こるであろう危険な状況についてもちゃんと案内をしておかなくてはいけません。
タイミング的には、バスがクヒオ通りに入った頃が良いでしょう。
この辺りは夜が更けてくると、とてもきれいな女性たちがウロウロしています。
もしかすると一緒に飲みに行きませんか?と声がかかるかもしれません。
でも一緒に飲みになんて行かないでください。
そんな素敵な女性は逆ナンなんてしません。
ビールぐらいおごってやる!と気前よく出掛ければ、
身ぐるみはがされてしまうでしょう。
ハワイでは売買春はどちらも大きな犯罪です。
被害に遭っても警察に泣きつくことはできませんのであしからず!
ちなみに、ここまでハッキリ警告をしても、いっちゃうんだなぁ、女の子に誘われて。
で、バスの中でお話ししとおりのやり方で、財布、ロレックスの時計、クレジットカードなどちゃんと盗まれてしまいます。
(なかには成功してる人もいるかもしれません。でもそんな人は困ったと言って添乗員に電話してきません。だから成功した人は知らない。)
そして、いつも夜中に電話ががってきます。
「だから言ったのに」と思いながら、お客さんのところに向かいます。
ご案内の中では、「警察には言えません!」と言いますが、実際被害に遭ったら警察を呼びます。
ホテルのセキュリティを通じて呼んでもらうのがいいです。
だいたい被害に遭うのはホテルのお部屋なのでエレベーターとかの監視カメラとかチェックしなくてはいけないしね。
ちょっとすると警官が来ますので、被害状況を説明します。
(まぁ、ほとんどの場合添乗員が通訳しますからね、警官が来るまでにだいたいのあらましはお客さんから聞いておこう!)
- その女とあった場所はどこか?
- なんて声をかけれたか?
- どんな女だったか?
- 何人連れだったのか?
- 何時ごろだったのか?
- 盗られたものは何か?
- いつとられたのか?(または盗られたと気付いたのはいつか?)
けっこう根掘り葉掘り聞かれます。(当たり前か!)
まさか、とは思いますが、一応言っておきます。
盗られたんだったら保険が請求できるじゃないか?と思った人~?
はい、残念。
盗難での保険請求にはポリスレポートが必要です。
警察に被害届は出せません。
だって、お客さんも犯罪者になってしまうから。
ここからは、盗られたものによって対応が変わります。
パスポートまで盗られたとき
これは、警察にレポートを作ってもらわなくてはいけません。
翌日領事館へ出向き、一時渡航証明を出してもらわなくては行けないから。
添乗員は、幹事さん、ランドオペレーター、領事館(のヘルプラインみたいな電話がある)へ連絡。
翌日帰国の場合(時に名古屋の場合)は、間に合わないと思った方がいいでしょう。
領事館の手続きはけっこうかかります。(パスポートのコピーあると良いです。)
そして、基本はそのお客さんはランドに任せて置いていきます。(何かとても重要な方でない限り)
話がそれましたが、レポートを作ってもらうのでその後の事も確認されます。
- あなたは自分が犯罪を犯したことを理解していますか?
- もし犯人が捕まった場合、裁判に出廷して証人として発言しますか?
みたいなことを、何項目か確認してレポートが出来上がったらそれを読み上げて署名します。
(もちろん状況説明や被害品目も含まれています。)
ここまできたらもう夜中にできることはないので、警察やセキュリティーには帰ってもらいお客さんには明日の予定を話して寝てもらう。
パスポート再発給についてはコチラのページを確認。パスポートを取られたら
現金、カード、時計などの被害だけのとき
警察にいろいろ状況説明をするのは同じですが、最後に警官に聞かれます。
これを刑事事件としますか?
その場合、あなたも罪に問われる可能性があります。
で、細かく警官がこれからの事を説明するのでそれを聞いてお客さんに判断してもらいます。
私がご一緒した被害者の皆さん、あきらめてます。
保険請求もできませんので、泣き寝入りです。
ちなみに警官もセキュリティーも「こんな女でした」と言えば「あああいつね、こんな感じの子でしょ?」と答えます。
だいたい知られています。「またか」って感じです。
あとは、もう何もしてあげることができないので、寝てもらってください。
お土産買うお金も無くなってる場合は、仲間内で貸してもらうといいね。
だいたいの人は、こんなことになったことを日本の家族には知られたくない。
けどクレジットカードとめようとなると、盗難にあったことは言わねばなるまい。
添乗員は夜遅くまでお手伝いをしますが、何もなかった夜として処理を進めます。
いまは、コロナで旅行に行けないから犯罪件数も最新の数字は分かりませんが、コロナ前までだとこんな感じです。
日本人被害事案
在ホノルル日本国総領事館
2019年10~12月の間、当館では35件もの邦人の犯罪被害を認知しました。
内訳は車上狙い13件、置き引き9件、ひったくり8件、強盗3(拳銃使用1、強盗致傷2)件、忍び込み1件、自動車盗1件となっています。
また、2020年1~3月の間では、24件を認知しました。
内訳は車上狙い9件、置き引き6件、ひったくり4件、空き巣2件、忍び込み1件、スリ1件、暴行1件となっています。
2020年4月~6月の間では、ハワイ州の新型コロナウイルス対策により、日本人旅行者が激減したことから、日本人の犯罪被害は認知していません。
当館が直接把握できる邦人の犯罪被害は、被害品に旅券が含まれており、被害者の方が当館で帰国のための渡航書発給手続きをされる際に、申告していただくものが大半であり、あくまでも邦人被害のごく一部、氷山の一角と推定されます。
こころしましょうね~。
という事で、今日の歌は爆風スランプを連続でお届け。「リゾラバ」
♪全部 う~そさっ、そんなも~んさっ 夏の女はもぼろし~♪
以上。
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