あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
海外添乗中にお客様が体調を崩されることは、決して珍しいことではありません。
時差、気候の変化、疲労の蓄積など、様々な要因が重なります。
今回は、実際の経験をもとに、病人が発生した際の具体的な対応手順をまとめました。
過去の記事:病人がでたら
旅行前に熱が出てしまったら:キャンセルしなくてはいけないのか
1. 初動対応:まず確認すべきこと
お客様の体調不良を把握したら、まず落ち着いて以下を確認します。
症状の把握
緊急度の判断
病院へ行くかの判断は早めに
実際にあったケースですが、あるお客様が30秒ほど意識を失われました。
意識を取り戻した時、ご本人は「自分は大丈夫」とおっしゃいましたが、ご家族が非常に心配されていました。
私は「病院へ行って安心しましょう」とお勧めし、受診していただきました。
特に私立病院は時間外の対応を行っていないことが多いため、夜間に症状が悪化すると公立病院の救急に頼るしかなくなります。
昼間のうちに病院へ行く判断をすることが大切です。

有名な話ですが、救急車は多くの国で有料です。
保険は大事!
2. 保険会社への連絡は「できるだけ早く」が鉄則
お客様が海外旅行保険に加入している場合、できるだけ早く保険会社に連絡することが重要です。これは本当に強調したいポイントです。
連絡のタイミング
ハワイでの実体験:キャッシュレス非対応病院でも対応してもらえた
ハワイで、保険会社のキャッシュレス対応病院ではないところを受診したことがありました。
しかし、病院に行く前に保険会社へ早めに連絡していたため、その病院でもキャッシュレス対応をしていただけました。
保険会社が病院と直接交渉してくれたのです。
これは本当に助かりました。
特にアメリカでは治療費が高額になることが多く、ドクターに会うだけで300ドル程度はかかると思っておいた方がいいでしょう。
事前連絡があるかないかで、対応が大きく変わることを実感しました。
伝えるべき情報
保険会社ができること → ジェイアイ保険
3. クレジットカード保険の注意点
コロナ終了後、クレジットカード付帯の海外旅行保険の条件が厳しくなっています。
募集型企画旅行のみ対象のカードが多い 手配旅行や個人旅行では適用されないカードが増えています。

つまり会社の慰安旅行などではそもそも適応されないという事。
会社の慰安旅行は受注型企画旅行という形態が一般的。
また、旅行代金をそのクレジットカードで支払っていることが条件になっている場合もあります。

すごく簡単に言うと楽天カードやイオンのカードの普通のカード(ゴールドなどではない)では、上記のような条件の場合が多いです。
クレジットカード保険を利用される方へのお願い
これらがないと、いざという時に「どこに連絡すればいいか」を調べるだけで貴重な時間が取られてしまいます。

クレジットカードの裏面に書かれている番号にかけると、だいたい「ここじゃない」と言われる
添乗員からの本音:最低限でも海外旅行保険に入ってきてほしい
クレジットカード保険を盲信せず、最低限でもいいので海外旅行保険に入ってきてほしいというのが、添乗員としての正直な気持ちです。補償内容が明確で、サポート体制もしっかりしているため、いざという時の安心感が全く違います。
4. 病院の探し方と医療体制の現実
優先順位の高い探し方
- 保険会社に提携病院を紹介してもらう(最優先)
- ホテルのフロントに相談する
- 日本大使館・総領事館に問い合わせる
- 現地ガイドやドライバーに相談する
都市によって医療体制は大きく異なる
メルボルンで実際に経験したことですが、救急車要請の電話をしてから実際に来るまで2時間ほどかかりました。
先進国でも、都市や地域によっては医療体制が万全ではないことがあります。
公立病院と私立病院の違い
救急診療だと公立病院に運ばれることが多いのですが、私立病院の方が旅行者には安心な場合もあります。
言葉の面や設備の面で充実していることが多いためです。
ただし前述の通り、私立病院は時間外対応を行っていないことが多いため、病院へ行く判断は早めにすることが重要です。
5. 医療現場での実際
未成年の治療には保護者の承諾が必要な場合がある
国によっては、未成年者が病院で治療を受ける際に、保護者の承諾が必要になることがあります。
これは事前に知っておくべき重要なポイントです。
修学旅行などで引率の先生の承諾で治療が受けられる場合もありますが、国や病院によっては、国際電話でご両親に直接連絡して承諾を得なければならないケースもあります。
学校関係者の方へのお願い
- 出発前に保護者から医療同意書を取得しておくことをお勧めします
- 緊急時にご両親へすぐに連絡が取れるよう、連絡先を把握しておいてください
- 時差も考慮して、ご両親が電話に出られる時間帯を確認しておくとスムーズです
治療が遅れることがないよう、このような準備は出発前にしておくことが大切です。
海外の医療対応は日本とは違う
実際にあった驚きの体験ですが、あるお客様がアナフィラキシーショックで病院に行った時のことです。
初診のナースに「海鮮アレルギーだと分かっててなぜ食べたの?」とすごい剣幕で怒られました。文化の違いを感じた瞬間でした。
インフルエンザへの対応の違い
海外ではインフルエンザでも「ただの風邪」扱いになることが多く、日本のような特別な配慮は期待できません。
医療に対する考え方そのものが違うことを理解しておく必要があります。
部屋の変更は医師の指示がないと保険対象外
ツアー中にインフルエンザの患者が出ると、学校の先生や慰安旅行の幹事さんは「他の参加者への感染を防ぐために部屋を別にしたい」とおっしゃることがよくあります。お気持ちは非常によく分かります。
しかし、ここが重要なポイントなのですが、医師から「部屋を別にせよ」という指示がない限り、部屋変更にかかる費用は保険対象になりません。実費負担となってしまいます。

経験から
お医者さんは風邪ぐらいでは「別室にしなさい」とは言わないです。
海外では日本ほどインフルエンザを重く見ないため、医師が隔離指示を出すことは稀です。善意で部屋を変更しても、その費用が自己負担になることを、事前にお客様に説明しておく必要があります。
6. お客様への案内
病人ご本人だけでなく、同行の家族や他のツアー参加者への配慮も必要です。
病人ご本人へ
- 状況を丁寧に説明し、安心させる
- 診察の流れを事前に説明する
- 必要な持ち物(パスポート、保険証券、クレジットカードなど)を確認
- プライバシーに配慮しながら、こまめに状況を共有
同行のご家族へ
- 病状と今後の対応を共有
- 病院への同行の可否を確認
- ツアー離脱の可能性についても早めに説明
他のツアー参加者へ
- プライバシーに配慮しつつ、行程変更がある場合は理由を説明
- 不安を与えないよう、冷静に対処していることを伝える
- 他の参加者の旅程に極力影響が出ないよう配慮
7. 会社への報告
添乗員として最も重要な責任の一つが、会社への迅速かつ正確な報告です。
第一報のタイミング
- 重篤な症状の場合:直ちに電話で連絡
- 軽度の症状の場合:状況が把握でき次第、速やかに連絡
報告すべき内容
- 発生日時と場所
- お客様の氏名、年齢
- 症状の詳細
- 対応した内容(保険会社への連絡、病院受診など)
- 今後の予定(入院の可能性、ツアー離脱の可能性など)
- 他のお客様への影響
- 添乗員の判断と今後の対応方針
継続的な報告
- 病院での診断結果
- 治療方針
- 入院が決まった場合は期間と費用
- ツアー復帰の見込み
- 旅程変更の有無
8. お客様に知っておいてほしいこと
旅行前の体調管理が何より大切
毎年風邪をひくという方は、旅行前から体調管理を意識してください。特に慰安旅行の場合、旅行前に仕事を詰め込みすぎて、旅行中に体調を崩される方が結構いらっしゃいます。
せっかくの旅行を楽しむためにも、旅行前は無理をせず、しっかり休息を取ってから出発していただきたいです。
9. 添乗員の必携品
当たり前だと思われるかもしれませんが、体温計はいつも携行しています。
発熱の有無を客観的に判断できることは、病院への受診判断や保険会社への説明時に非常に重要です。
添乗員にできる事:民間療法
10. 事前準備のチェックリスト
出発前に準備しておくべきことをまとめます。
- [ ] 各訪問都市の病院情報をリストアップ → できれば催行旅行会社の保険だと話が早い
- [ ] お客様の緊急連絡先を把握 → 催行先に連絡
- [ ] 保険加入状況を確認(未加入者がいないか、クレジットカード保険の場合は条件を満たしているか)
- [ ] 持病や常用薬、アレルギーの情報を収集
- [ ] 会社の緊急連絡体制を確認 →年末年始や大型連休の時は特に
まとめ
海外添乗中の病人対応は、添乗員にとって大きな責任を伴う場面です。
しかし、落ち着いて順序立てて対応すれば、お客様の安全を守り、適切なサポートを提供できます。
重要なポイント:
何より、日頃からの準備と、お客様自身の旅行前の体調管理が、トラブルを未然に防ぐ最善の方法です。
この記事が、同じく添乗員として働く皆さん、そしてこれから海外旅行に行かれるお客様の参考になれば幸いです。

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