搭乗前に具合が悪くなった時 お客さんから相談を受けたら添乗員はまず何をすべきでしょうか?
搭乗前に具合が悪くなった お客さんが出た時、添乗員はまず何をすべきでしょうか?
最近大人数のグループをご案内することが多いので、ケガや病気の応対をする機会も必然的に増えています。
はっきり「コロナです!」とか「インフルです!」となれば、お医者さんの指示通りにするしかありません。

飛行機への搭乗は無理ですね!
こう言われれば、その旨航空会社に連絡して「今日は乗れません」と言い、その後の判断を催行箇所に仰げばいいだけの事。
でも、実際のツアーの現場では…

風邪ではないと思うけど、体調悪い
気持ちが悪くてムカムカする…

ちょっと息苦しいかも
重病だったらどうしよう…

ケガしたところが腫れてきた。
飛行機大丈夫かな…?
なんの医療知識もない添乗員はお客さんの気持ちに寄り添ってあげるしかできません。→添乗員がしてあげれること
でも寄り添ってるだけでは、問題は解決しません。
具合が悪い? まずは熱を測る
兎にも角にも熱を測りましょう。
添乗員である限り、体温計は常に携帯していると信じています。(たまに忘れるけど…)
熱がないことを確認しなければ、飛行機に乗れません。
そして「どのくらい具合が悪いか」をお客さんに聞く。
- 飛行機には乗るつもりだけど、具合が悪いことを知っておいてもらいたいレベル
- 飛行機には乗って帰らなきゃ聞けない用事がある。でも耐えれるか心配。
- 体調悪すぎて飛行機乗るのが怖い。機上でどうにかなってしまうんじゃないか?
- 飛行機なんてとても無理。すぐに病院に連れてってほしい。
とにかく無理をさせない事が重要ですが、とはいえ添乗員の判断だけで事を進めることはよくありません。

上記の場合、①は迷うところだけど②~④はお医者さん行きですね
かといって、単なる体調不良で搭乗取りやめとなれば、
金銭的負担はかなり高額となってしまうかもしれません。
乗る乗らないの判断は非常に大切です。
病気に関わることなのでうかつなことはいえませんが、今までにあった事例を紹介します。。
搭乗直前に断念
とあるツアーにて、空港へ向かうバスの中で急に体調が悪くなった。

バスの中で突然、動悸が始まった。冷汗もだらだら出た。
ちょっとしたら治ったけどなにか体に起きてるのかもしれない…
私がお話した時にはすでに症状は収まっていたので、ご本人の意思のもと搭乗手続きを済ませ出発ロビーへ。
搭乗も始まり、あとは飛行機に乗るだけ!というその時

やっぱり心配。
飛行機にのる勇気がない。
もうこうなったら無理に乗せるわけにもいきません。
搭乗カウンターの係員に、体調が悪く飛行機に乗れない・キャンセルをしたい、旨を伝えて搭乗券を提示。
荷物も飛行機から降ろしてもらわなくてはいけないからね。
添乗員は、その飛行機に乗ってほかのお客さんの帰らなければいけませんからその後のケアは現地ランオペにお願いすることになります。
ランオペに電話してお客さん情報、どこで待ち合わせるのか、救急病院の診察依頼、海外旅行保険の有無など手短に報告。
そのお客さんを保安検査場の出口近くまで見送り、ミート場所を確認してお別れ。
その後の連絡で「病院で先生に診てもらい、どこも異常がなかった」とのこと。
翌日の便で無事に帰国しました。やはりお医者さんに「大丈夫」と言ってもらうのが一番の効き目です。
チェックイン時に「気持ち悪い」
バスが空港に到着し、チェックインへのご案内をしているとある家族の娘さんが「具合が悪い」と座っている。
さっそく熱を測ったところ、特に熱はなし。
親御さんは心配しているが、娘さんは気丈にも「大丈夫です!」と言っている。

こういう時お父さんって本当におろおろしてるだけ。笑
お母さまから「いつごろからの症状なのか、最近病気をしたか」など簡単に伺い、航空会社へ報告。
水が合わなかったのか、食事にあたったのか前日から全然食べてないという… でも本人は「大丈夫」と言っている。
地上係員の質問を受けてチェックインへと進むことができました。
この時はラッキーにも座席の余裕があったそうで、隣に誰も来ないお席をアサインしてもらうことができました。
搭乗前にもう一度航空会社からの問診を経て、無事搭乗。
CAさんにも「このお客さんの添乗員は私です」とあいさつを済ます。

CAさんって「お客様の中に体調不良の方やお手伝いの必要な方はいらっしゃませんか?」って必ず聞いてくれるよね。素晴らしいサービスだと思う。
どうやら機内で回復したらしく、無事帰国。
めでたしめでたし。
フラフラの状態で搭乗
旅行中に体調を崩し、お医者さんにかかる。
注射も打ってもらって、お薬ももらって、「飛行機の中で2リットルの水を到着までに全部飲むこと」と注意事項などいただいて飛行機に乗って帰っても良し、と言われたお客さん。
ただまだ歩く姿はふらふらしています…
いくらお医者さんが「飛行機に乗って帰っても良し」といったとて、見るからに体調悪くふらふらしていたら航空会社は搭乗を許可してくれません。
航空会社には搭乗拒否をする権利があります。
そこで添乗員はお客さんにこうアドバイスします。

チェックイン時、搭乗時は「シャキッと」してください。さもなければ降ろされます。
お客さんは、最後の気力を振り絞り無事搭乗。
その後、お医者さんの注射が効いたのか、お水ちゃんと飲んだのが良かったのか機内で無事回復。
帰国した時には、「あれ?どの人だったっけ?」と思うくらいに回復。
これもめでたし、めでたし、でした。
航空会社からの搭乗拒否
これは私の経験上2回だけありました。
2番目の「係員への暴言」は今回関係なので割愛。
1番目の酔っ払いはあるあるです。

ちなみに酔っぱらってなくても酔っ払いに見えるだけでもNGです。
危険人物と映るからね、外国では。
チェックインの時に、思いっきり絵にかいたような千鳥足のお客さんがいたんですね。
お友達に支えられながらどうにかチェックインは済ましたのですが、その後添乗員呼び出し。

いまのお客さまは乗せられません!
さぁ大変です。
そのお客さんのお友達にも手伝ってもらいトイレへ行き、気を落ち着かせ事態を飲み込ませ「ちゃんと」するようにお願い。
いろいろありましたが、どうにか乗せてもらい無事帰国。
海より深く反省してください。
「私、帰りません!」
これはとある学生の話。
学年に1人くらいはいるかもしれない、ちょっと気が弱い子。
特に熱もなければ、咳や鼻水などの症状もない。でも「だるい」
体調悪く「私は明日帰ります」と…

どうやって?
でも帰る気持ちがない子に無理は言えません。
けど、それでもいいのよね? 明日帰るのね? 手続き勧めますよ… と確認をする。
どうやら理解してくれたようです。無事帰国。
当日トラブル 飛行機に間に合いました
帰国当日にケガや病気になったとしても、午後以降の出発便であれば飛行機に間に合うかもしれません。
- 痛風を発症
- 骨折が判明
- 発熱しちゃった
いずれも当日医者さんに見てもらって、処置してもらって飛行機乗ってもいいよと言ってもらって飛行機に間に合いました。
団体のバスには間に合わなくてタクシーで追いかけてきてもらったパターンもありますが。
あきらめてはいけません。諦めなければそこの道は開ける。
搭乗前に
体調を整えましょう。
「どうせ飛行機の中で寝るから」と言って徹夜で遊ぶのやめましょう。
出発前に仕事を詰め込みすぎるのやめましょう。(旅行中に体調崩しがち)
部屋のエアコンは切って寝ましょう。
常備薬は手荷物にして持ち込みましょう。
上着を持って搭乗しましょう(機内がとても寒い時がある)
乾燥しているのでマスクや飴を持っておきましょう。
耳がすぐにポーンとなってしまう人はガムを噛みましょう。
締め付ける服装はやめましょう。
- 旅立つ前に
- できるだけ負担を軽くし、余裕をもって行動しましょう。
(1)はやめに空港に到着しましょう。
(2)大きな荷物は空港に宅配することをお勧めします。JAL ABC宅配サービスをぜひご利用ください。
(3)旅行中は心身の休養を十分にとれるようなスケジュールにしましょう。- JALのHPより引用
無理は禁物です。体調悪いときは早めに添乗員、航空会社、ホテルの人や現地係員さんに伝えましょう。
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