「添乗員さんが、行ったことのある珍しい場所ってどこ?」
これも、お客さんにけっこう聞かれる質問かも。
名古屋で添乗員をやっていると、メジャーな観光地にはもちろん良く行きますが、
マイナーな観光地や秘境、おしゃれで素敵な島で優雅にバカンス的な場所に行くことはあまりありません。(人による)
その代わりにはならないけど、産業が活発な東海地区だから企業視察や工場見学にいく機会にはたくさん恵まれます。
東京の素敵な添乗員さんが、「次のツアーはイビス島に行くの!」っていう感じで、
私は「次のツアーは、あの国の工業団地に行くの!」と言います。
おかげさまで、いろいろな国の工場、港湾施設、展示場、会社、学校、畑などをたくさん見てきました。
なので、今回は視察箇所にまつわる話です。
日本の事を知らない
いろいろな視察箇所に行くのですが、どこに行っても感じることは、「私って日本の事、何も知らない。」
例えば、生産現場のスピードの速さをみて、すごーい!って感嘆しているとお客さんから「うちの工場もっと早いよ」と言われたり、
へぇ~、全部機械でオートメーションなんだ!と感心していると、その機械は全部日本製であったり。
食品工場(原材料に入ってる方の)に行った時に、味っていうのは結局人間の舌で決めているんだと知ったり。(←万国共通)
(輸入しているニンジンペーストの味がけっこう揺らぐのはなんでか?と追及していた)
生産現場では、当たり前の考え方を知らなかったりして恥をかくこともしばしば。
(一応、日本でも工場見学行くけどね。あんまり真剣に見てないのかな…)
でも、添乗員だからね、そこに対しての知識を求められないので安心です。
びっくりしたこと
- 部品工場、ものすごく細かい部品の選定作業をしていたのは、みんな若い工員。それでも5年ほどで目が使えなくなってしまう。そうなったらすぐ次の人を入れる。
- 縫製工場で、あたらしいの国に工場を出そうと思ったら日本国内に職人がいなくなっていた。
- キャビアの漁獲量は決まっているから、密漁に頼らざるを得なくってその管理は警察がしてる。
- 国が賄賂を要求するのは、良くないから寄付をしろ!と脅迫してくる。
- とある国では、大企業が倒産しそうになっても国は助けない。だから外国企業がすぐに買う。
- 工場視察に来る人向けにお土産販売をしている。笑(工場専用のキャラクターまで作っていることろがある)
- 「カイゼン」と言う言葉は意外とどこまでも浸透している。(カンバン方式もね)
- 商社さんってこんな細かいところまでお世話してるんだって思う。
- 外国に進出する会社は、大企業の進出に伴って背に腹変えられずついてきてるところもある。
- 海外駐在員の現地妻の娶り率が、けっこう高い。
- 日本企業と取引してる会社は、意外とドライじゃない。(接待もするしヨイショもする)
- 1日で会社が設立できちゃう国がけっこうある。日本ってやっぱ面倒くさいかも。
- 中国ってやっぱりすごいかも。(いろいろ)
- 日本人会の力がすごく強い国がある。
お国柄はでるよね。お茶やコーヒーブレイクの時間とか、社食のメニューとか、制服のあるなしなんかもそうだと思う。
とにかく、毎回びっくりし通しです。だから面白い。
知ってなくてはいけない言葉(たぶん)
日本の工場で働いたことの無い私は、たぶんとっても基本的な言葉さえ知りません。
- QC(Quality Control:品質管理)
- ISO(International Organization for Standardization:国際標準化機構)
- BtoB BtoC(企業と企業、企業と個人)
- HR(Human Resource:人材)
これ以外にも、パッと思い浮かびませんが新聞で見たことがあるなぁ、と言う言葉が飛び交います。
そこで、今一番の流行りの言葉は、コレ
SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)
2015年国連が作った向こう15年間の新たな行動計画。
最近、見かける胸章。ドーナツ型に17色がついてるやつです。アレです。
うちは、旅行社だからかまだつけてる人は少ないけど、社是から考えると付けててもおかしくはない。(っていうかアピールするならつけなくちゃいけないんじゃないか?)
とりあえず、昔の英語の時間には習わなかった(はず)Sustainableを言えるようにしておこう。
視察の準備
基本、視察先っていうのはお客さん手配の事が多いからそこに関しては知らなくて当然なんだけど、事前に聞いておかなくてはならないことはたくさんあります。
- 当日の担当者の連絡先。門を開けてもらったりする守衛さんに通じる合言葉
- 車両番号などを事前に提出しなくてはいけないことが多い。
- 特にバスは、前広に番号・運転手の名前・携帯番号をランドからもらっておくと当日当たり前のように変わるので注意。前日に運転手に「明日は君で間違いないよね?」と念押しして「そうだよ」と返事をもらっていても、葬式が入ったという理由とかで変更になる。
- バスを停めるところ
- 普通の事務所や、企業に訪問するとき大型バスの駐車場なんてありません。工場なら広いけど、トラックとかが行きかうからね、停める場所は重要。
- メンバー表の提出
- 視察先のライバル企業の社員がメンバーに入っていると、その人だけ視察を断られることがある。その場合、その人たちには別プランを準備しなくてはいけない。
- 作業音が多い所ではイヤホンガイドが必要。誰が準備するのか、スピーカーが何人いるのか?
- 空港や駅なんかは、無断で無線を使用してはいけないところが多いので、勝手に準備しない。
- 見学中は、一度にたくさんの人数が難しいので通常グループ分けをする。そのグループをちゃんとお客さんに伝えておく。
- 通訳さんには、企業説明はもちろんあいさつ文なども事前に渡しておかなくてはいけない。
- 何語の通訳が必要なのかも確認要。通訳の技量によって視察の内容はかなり変わってしまいます。時にはクレームの原因になってしまうことも。
- 外国には次第がないことが多い。
- だからこちらで作る。その通りになるかどうかは分からない
- 写真撮影の可否、質問するタイミング、添乗員もついて行っていいか?を聞く。
- 懇親会が行われるときの招待状、受付、席順、スピーチの順番。
- 食事を準備してもらうときの数。
- ガイドさんや運転手さんの分どうするか?自分たちで食べてこいとは言えない場所も多数あります。
- 訪問時にもらう紙の資料、記念品の類が多い。帰りの荷物を圧迫するくらい。
- 訪問時の服装。ネクタイの要否。
- 現地へのお土産。←これ重要
数え上げればきりがありません。
名刺なんかもたくさん準備しておいてもらわなくてはいけないしね。
視察まで行かなくても、慰安旅行とかでもパーティーに現地取引先がゲストで来るなんて言うこともよくありますからね。
きちんとしておくことに超したことはありません。
しっかりと準備をしたうえで、迎える当日。とにかく時間は厳守しましょう。(少なくとも日本側はね)
ハンブルグのピアノ工場を見学した時には、偶然日本人ピアニストがピアノみにきてて‥。
話が弾んで即興ミニコンサートをしてもらったこともあります。
予期せぬこともたくさん起こりますが、知らなかったことを知るということは基本楽しいです。
なかなか日本人がいない珍しい観光地にはあまり行く機会はないけど、現地でたくましく頑張ってる日本人がいっぱいいる工場にはたくさん行った事があるよ~!(でもツアーにくるお客さんが聞きたいのはそこじゃない。残念)
では、今日の歌。とはる視察先で駐在員の方とカラオケに行った時にコレ歌ってくれました。
玉置浩二「メロディー」
♪あの頃は~ なにもなくて~ それだって 楽しくやったよ~ メロディ♪
泣けました。
以上
コメント