よもやま話

親切とサービス

よもやま話

時折り、学生たちにお話しをする機会に恵まれる。

もちろんいろいろな海外の事を教えに行っている立場ではあるのですが、考えさせれられることもしばしば。

日本にはない習慣のTIP。どんな時に渡したらいいのか?

場面を想定しながら、払う払わない、渡し方、金額などを説明していきます。

最後に学生に質問をします。「チップを渡したほうがいいと思う場面を考えてください!」

そうすると「道を教えてくれた時」「落とし物を拾ってくれた時」という答えが返ってきます。

(私の教え方が悪いだけの様な気もするが)

親切にはチップがいらない、サービスにはチップを渡してと教えますが、

親切とサービスの違いは何だろう?と考えてしまいました。

添乗員は親切な人が多い?

募集ツアーの旅行条件書を見るとだいたい代金に含まれるものの中に「旅行取扱料金および消費税等諸税、サービス料」の様な表記があります。

だから、参加のお客さんは基本的にガイド・ドライバー・ホテル・食事等のTIPを気にせず旅行を楽しむことができます。

でも、払ってないわけではありません。ガイドにもドライバーにもポーターにも添乗員が一括してお金を払っています。(だから添乗員は狙われる、現金を持っているからね)

だからお客さんは添乗員へのTIPも含まれていると考えます。(いや、添乗員にTIPなんて発想はないかもね)

それでも旅行の最後に「ありがとう」と言って心づけをくださる人はまだまだいらっしゃいます。(ありがたい)

じゃ、添乗員がそれ目当てで働いているかと言えば否でしょう。もらえるなんて全然思っていません。(だからもらえるとびっくりする)

旅行中のサービス料は含まれているのだからそれに見合うサービスを心掛けているだけです。(本当は深く考えていないだけ)

せっかくの旅行だから、思いのたけをぶつけていってほしいと思っています。それが添乗員のちょっとしたお手伝いで実現するならなおさら。

じゃ、添乗員は親切でこれらをすべてやっているのか?

もし、「親切」の定義が「見返りを求めない」であるとしたら、添乗員は親切ではないね。

ものすごい「ありがとう」の言葉を待っているから。笑

お誕生日のお祝い

昔みたツイッターかネットニュースか忘れましたが、「飛行機でCAに”今日自分は誕生日だ”と伝えたが何もしてくれなかった」と言うようなことを書いてありました。

その人は、きっと自分の誕生日なんだから万人に盛大に祝ってもらって当然の人生を歩んできた幸せな人なのでしょう。

添乗員もけっこう頼みます、CAに。「何番に座ってる人は今日誕生日だからチャンスがあったら”おめでとう”って言ってあげて」って。

ココで大事なのは、何をしてほしいかちゃんと言う事。

安全に支障がなく、忙しさに忘れてしまわなければ”おめでとう”ぐらい言ってくれます。

これを書いた人は何をしてもらえれば満足だったのかは書いていなかったので、それを書き記した本意は分かりません。

話は変わりますが、ツアーでは意外とお誕生日は重要です。

基本、お誕生日セットは持っていた方がいいでしょう。(キャンドルやハッピーバースデーのシール)

もし食事箇所でデザートに誕生日のためのデコレーションを頼めべもちろんTIPを払います。

そしてツアーによっては演出費的なものもあるのでちょっとしたプレゼントを買うこともできるでしょう。

でも今は個人情報がうるさい時代。お誕生日祝いをしてもいいかお連れ様がいれば聞いておかなくてはいけません。(一人参加の人は本人に聞く?分からない。)でもさ、サプライズでしてあげたいよね、お祝いは。旅行中って今日何日かってことを忘れてしまう事が多いからけっこうサプライズになります。

でも、北欧みたいに毎日ブッフェスタイルとかリゾートなんかで自由食が多いツアーだとみんなでお祝いって感じならないことも多いです。

そんな時は、キャンドルを渡して自分たちでお祝いしてもらうのも一つの手ではありますね。

これはサービス?それとも親切心?

上記の例で言えば、確かにウェイターへのTIPやプレゼント代は会社が持ってくれるのでサービスと言えるでしょう。

でも、プレゼントを現地の少ない自由時間の中で一生懸命選んで買って、どの日にお祝いするか悩んで、盛り上げようと頑張るのは添乗員の熱意。

(これを要求されると気持ちが一気に萎えちゃう。)

あるものの本に書いてあったけど、”サービス”はお金に換算できて、”親切”などはお金に換算できないらしい。

(マスターカードの宣伝みたいだね。)

そうすると、添乗員のしていることはサービスと親切の融合になるのか。

それは親切じゃない

  • ポーターを使わずに添乗員が荷物を運ぶ
  • 配膳が遅いから手伝う
  • 写真屋がいるのに、添乗員のカメラで写真を撮って配る
  • ガイドを削って添乗員がガイディングまがいの事をする

これらは全部、その人たちの仕事を奪っています。してはいけない事。


つまり、チップをあげるか否かはそれを職業にしている人なのかどうかを見極めればいいだね。

  • 迷ってる人に道を教えてあげるのを職業にしているのは、観光客をだまそうとしてる人以外いない
  • 前を歩いてる人が落とし物しないかな、と思いながら歩くことを職業にしている人もいない
  • 困っている人に手を差し伸べることを職業にしている人は、悪人以外にいない

なので、これらは親切。親切だからチップをあげなくてよい。その代わり満面の笑みでありがとうを伝えよう。


今日は、宮沢賢治の「雨にも負けず」を朗読して終わりましょう。

以上。

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