ツアー中の忘れもの お届けするまでの物語 結構大変なんです
忘れ物なきよう今一度確認をしてください!
添乗員は、一度のツアーで何回も何回もこの言葉を発します。
もちろん添乗員も忘れ物をします。忘れ物はなかなか防ぐことはできません。
だから確認が大事になるんですよね!
- 空港の保安検査場
- バス、電車、飛行機を降りる時
- ホテルやお宿を出発する注時
- レストランや施設さんから出る時
忘れ物ポイントとして、特に注意するようにいつもお願いします。
なぜなら忘れ物が発生したら、添乗員が探すからです!
過去の記事 → 忘れ物は戻りません
添乗員は、忘れ物探しがいかに困難か知っています。方々に電話をし、捜索を依頼しなくてはいけません。
そして見つかったあかつきには、その忘れ物を本人の下まで届けなければいけません。
ここまでが一式
猛烈面倒くさいし、もしその忘れ物が見つかってから本人の手元に届くまでに何かあったら非難の矛先が添乗員に向いてくるという、善意だけでやってるのにとんでもない結果を招くことがあります。
だから必死にお願いします。
携帯電話はありますか?忘れ物はありませんか?
ツアー中の忘れもの 携帯電話を届けろ!大作戦
これはつい先日の話。
手配ものの2泊3日国内旅行で、一人のお客様(Aさんとします)は延泊をすることになっていました。
ですので3日目は行程途中で離団、ご自身でホテルに戻りその後は自由に楽しんでくると言うものでした。
ツアーは無事に進み、予定通り3日目にAさんは離団をし、私達も予定通り空港に向かうためバスに戻った時でした。
Aさんが座っていた座席に、青色のカバーがついた携帯電話が青色のシートの上に残されていました。
あ~、やばい~
届ける方法がない~
Aさんはこの会の偉いさん。周りの方もどうにかしなくてはと考える。
バスでホテルに戻っている時間は当然ない。
どうしよう、添乗員だけ空港ついたらタクシー拾ってホテルまで往復するかな、でも時間間に合わないな、とか
バイク便頼もうかな?でも来てくれるかな?とか相談してた正にその時!
遅くなってもいいなら私が届けますよ!
次の仕事でそっち方面行きますから。
神が現れた‥‥
そもそもバスの運転手さんに頼めばいいじゃない?なんて簡単に思わないでください。
運転手さん達はいま限られた拘束時間内や距離数の中で、ぎりぎりのところを計算して走っています。
簡単に「ちょっとお願いしますよ~」なんて口が裂けても言えない状況なのです。
そんななか、私達を空港で降ろしたあと、2本目の送りの仕事があり宿泊ホテル近くを通るから、と申し出てくださったのです。
ありがとう、運転手さん
携帯をホテルに届ける算段は整った。あとはAさんに「携帯は見つかってここにあります。今夜遅くなるけどホテルに届けるから安心してください」と言いたい。言うだけ。
でも肝心のAさんが見つからない。
ホテルの人に何度も電話してお部屋につないでもらうけど出ない。
ホテルの人に「ドアに『携帯の件、フロントまで』と書いて貼っといてほしい」と頼む。
チェックインが済んでいての連泊だから、フロントには寄らないんだよね、基本。
だからホテルの人に「Aさんは●●歳ぐらいのこんな背格好の人だから、それらしい人がいたら声かけてほしい」とか
もうホテルスタッフにお願いできることは全部した。
なんせ会の偉いさま、他のお客さんから「まだ消息がつかめないのか?」「こんな時間までいないなんて大丈夫なのか?」と数分毎にいろんな方に聞かれるし‥
さらに土曜日だから会社もお休み。国内旅行だから緊急連絡先も聞いていない。
延泊された時にどこに行くのかも聞いていない。
だからホテルさんに見つけてもらうしか方法がない。
夜20:30、私達は名古屋に到着。すぐにホテルへ電話して「Aさん帰ってきた?」と聞くも「まだです」
お客さんとは空港でお別れなのだけど、そのお客さんから言われたこと
- 「こんな時間までホテルに帰ってないとほかの心配も出てくる」
- 「連絡がつくまで追いかけてほしい」
- 「何時になってもいいから情報があれば知らせてほしい」
まじか…
もうツアー終了でこの先の時間は時給が出ないんだけど
でも心配されてるお客様に対して、この先の捜索やご連絡にはお金が発生します!なんて言えない…
そんな事を言うメンタルは持ち合わせていない…
とは言え、私も心配だしね、結局。
家に到着してホテルに電話したしたところ「携帯に着信があった」との事。さっそくその番号を聞き出して留守電とメッセージを入れたのが22:00頃
そのことをお客さんにも連絡し、折り返しを待ってる状態だと説明。
ところが23:00を過ぎても折り返しの電話なし…
もう今日はこれまでか、と心配しているお客さんに状況連絡を入れたらなんと「ますます心配になってきた」との返信が‥
言えない…
ツアー帰りでもう疲れたから寝るね!って
言えない…
これ以上はまた明日ね!って
言えない‥
なにか進展があったら連絡します、と言い残して床へ向かう。
お布団に入ったらすぐ寝てしまう私は、寝てたんだろうね、やっぱり。大音量にセットしていた着信音がなり慌てて起きた。
すると電話の向こうから「Aさんの携帯の件で」という声が!
聞けば、先ほどAさんをホテルに送ったとの事。なので今頃ホテルに到着しているはずだ!と言われてすぐホテルに電話。
はい、先ほどお戻りになり携帯電話を渡しました!
長かった。時計を見ると00:40!
心配されているお客さんに「夜分すみません、消息がつかめました!」と連絡し一件落着。
長い長い夜が終わりました。
以上の事からも分かるように、いろいろな人の力を借りなくては忘れ物を届けることはできません。
忘れ物を失くすことはできないけど、できるだけこまめに確認をして早期発見に努めましょう。
ツアー中の忘れ物 添乗員的忘れ物ランキング
1位 携帯電話
私の経験では、一番厄介なのは携帯電話!
なぜなら宅配便で送れないことがあるから。もしくは1週間ぐらい時間がかかることがあるから。
お客さんはすぐ手に入れたいけど、沖縄とかからだといろいろな制約がある。
ヤマト沖縄のページで確認!
これも沖縄はちょっとルールが違うから‥と説明しても、なかなか理解してもらえない。で、なんでか?とつめられる。
私が作ったルールじゃない… そして忘れ物をしたのはあなたです!
それに本人確認が必要なことが多いから、パスコードとかを聞くことになる。
添乗員だってそんな個人情報を知りたくない。あとあとなにか思われても嫌だからね。
2位 財布
警察の落とし物ランキングを見ると
- 証明書類 812,625点 18.3パーセント
- 有価証券類 471,223点 10.6パーセント
- 衣類・履物類 400,792点 9.0パーセント
- 財布類 338,823点 7.6パーセント
- かさ類 294,196点 6.6パーセント
財布類は4位という事で1位ではないのだけど、添乗員にとって面倒くさいのは携帯電話と1,2を争います。
なぜかというと現金は、現金書留でしか送れないから。(財布は、書留封筒に入れられません。)
だからどうやって送るかとかいくら入ってるかとかできるだけ間に入りたくない。
添乗員はお手伝いしてるだけなのに、なぜかいつも最初に疑われる… 疑われてないのかもしれないけど、何かが起こったらやっぱり気まずい。
ただ旅行中に全財産を持ってきているわけではないので、ちょっと郵送に時間がかかると言ってもそこまで怒られないので2位としました。
3位 それ、いる?ってモノ
例えば靴下片方とか携帯の充電コードとかそういう配送料の方が高くつきますよ、ってモノ
お客様はちゃんと報告してくれます。
ま、忘れ物はありませんか?と聞いたのは私だけどね
あるかどうか調べてくれと言いますが、日本だったら自分で電話すればいいのに‥と思っている。言わないけど。
で、配送料の方が高くつきますよってお話しするとようやく諦めてくれる。
なんだかね…
あとこれも言いたい。
また別のツアーの忘れ物。お客さんはもう空港についていて私はまだホテルにいました。
電話がかかってきて「●●がない。ホテルのロビーに忘れたのか定かでないけど探してほしい」
探しました。ホテルスタッフにもお願いしました。でもない。「ないです」とお答えしました。
ところがだいぶ時間がたってからホテルさんが「探し物ってコレですか?」と持ってきた。
「はい、それで間違いないと思います。」
するとホテルさんは申し訳なさそうに言いました。
実はロビーのソファに置いてあった。だけどその椅子にはずっと誰かしらが座っていたので忘れ物だと気が付かなかった
そりゃそうだよね、ホテルのロビーはパブリックスペース。座ってる人の所に行って「コレ、あなたのカバンですか?」なんて聞けるわけがない。
私は「いえいえ、ありがとうございます。」と受取りお客さんへ連絡。(飛行機乗ってるからメッセージで)
すると到着したであろうお客さんから折り返しが来ました。
なんでさっきは見つからなかったのに今みつかったんですか?
お客さんは悪気なく聞いたんだと思います。ええ、きっと。
でもさ、たくさんの人に気にかけてもらってあなたが不注意で忘れたものを見つけて、着払いの配送の準備もしてくれてってしてるのに…
ありがとうございます。とは言ってたけれど。モヤモヤモヤ…
今回実は私も3日目の朝携帯電話忘れて、ホテルさんに鍵もう一回出してもらってお部屋に取りに帰りました。
だから本当に人の事をとやかくなんて言えない。
だけどね、
大変なのだよ、後処理は!!
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